2023/03/27
雇用形態の変更による年次有給休暇付与について
雇用形態の変更による年次有給休暇付与について
年度の途中に社員からパートタイマーに変更するなど雇用形態を変更した場合、年次有給休暇の付与はどうなるのか?
年次有給休暇は、労働基準法に基づき、週の所定労働時間、週の所定労働日数、勤続年数に応じて少なくとも法定付与日数を与えなければなりません。パートタイマー(以下、パート)で、週の所定労働時間が30時間未満であり、かつ、週の所定労働日数が4日以下の者、または週の所定労働日数が変動する者で年間所定労働日数が216日以下の者には、所定労働日数に応じた日数を付与しなければなりません(比例付与)。
なお、年次有給休暇の扶養日数は、付与基準日における雇用形態によって判断され、年度の途中で正社員からパートへの雇用変更のあった場合でも、次の付与基準日まで付与日数は変更されることはありません。たとえば、年次有給休暇の付与基準日が雇入れ日方式の場合で、勤続3年6ヵ月経過している正社員は、既に14日を付与されていることになります。仮に前年の残日数(繰り越し分)5日であった場合、勤続4年6ヵ月までの合計保有日数は19日(14日+15日)となります。その者が勤続3年6ヵ月経過後4年6ヵ月目までの間は19日保有することになります。そして新たな付与基準日の4年6ヵ月目には、雇用形態の変更に基づきパートとして比例付与により、新たに9日の年次有給休暇が付与されることになります。
このように雇用形態が途中に変更となっても、年次有給休暇bの付与日数は、あくまで付与基準日の雇用形態によって決められ、一度付与された年次有給休暇の権利は取り消されることはありません。また、雇用形態が変更になっても勤務は継続していますので、新たに付与基準日に何日付与するかは過去の勤続年数に比例します。雇用形態が変更になったからといって勤続年数がリセットされることはなく、通算されます。
次に、年次有給休暇の取得日の賃金が通常賃金で支払われるときは、正社員からパートに雇用形態が変更になると、正社員のときに付与された日数分を取得する場合の取得日はパートとしての勤務ですので、パートとしての所定労働時間に時間給を乗じた額を支払うことになります。たとえば、正社員時の1日の所定労働時間が8時間で1日5時間のパートに切り替わった場合には、年次有給休暇を1日取得した場合は5時間分の賃金を支払えばよいことになります。
なお、月曜日には2時間、火曜日は5時間など日によって労働時間が異なるパートの場合には、年次有給休暇を取得したその日の所定労働時間を支払うか、労働基準法の平均賃金(過去3ヵ月分の賃金の平均額)を支払うなど、パートが年次有給休暇を取得した場合の賃金を定めておく必要があります。