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2024/06/19

固定残業における欠勤控除について

1日1時間分のみなし残業とした場合、欠勤分相当の固定残業代を控除は可能か

固定残業における欠勤控除について

1日1時間分のみなし残業とした場合、欠勤分相当の固定残業代を控除は可能か

 固定残業代は、毎月、一定の時間外労働数の割増賃金を定額で支払うものであり、定額残業代、みなし残業とも言われています。この固定残業代を採用するには、①基本給等固定的な賃金と固定残業代が区分して支払われていること、②固定残業代として時間外労働の何時間分に相当するものなのかということ、③固定残業代を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払うことの3つについて、労働契約書や就業規則上、明確になっていればなりません。
 したがって、例えば「基本給30万円(固定残業代を含む)」などとするだけでは固定残業代の要件を満たしていないことになります。また、固定残業代を採用している場合には、残業の有無にかかわらず、固定残業代は満額支払わなければなりません。例えば、月20時間分の残業代を固定残業代としている場合、労働時間が実際には10時間しか残業をしていなくても、20時間分の残業代を支払う必要があります。しかし、仮に労働者が25時間の残業をした場合は、固定残業代を超える5時間分の残業代を別に支払わなければなりません。
 また、固定残業代を導入していることを理由に労働者の労働時間管理が適正に行われていないことがありますが、欠勤、遅刻、早退を含めて労働時間を正確に把握し、固定残業時間数を超える残業の有無を確認する必要があります。
 では、欠勤した場合と固定残業代の関係を見てみましょう。 
 仮に欠勤した際に際に固定残業代を含めて控除するとして、月平均所定労働日数20日で20時間分の固定残業代とした場合、1日欠勤に対して1時間分を控除することなります。
 欠勤に関しては、ノーワーク・ノーペイの原則で就業規則や賃金規程の欠勤控除規程に基づき欠勤日数分の賃金を控除することは問題ありません。固定残業代についても、就業規則や賃金規程に固定残業代も欠勤控除の対象とすることおよびその計算方法が定められている場合には控除することができます。
 1日欠勤したときは1時間を控除し、その結果、その月の時間外労働関数が19時間以内であれば19時間分を固定残業代として支払い、19時間を超える残業がある場合は別途支払うことになります。しかし、固定残業代を欠勤控除の対象にしなければ、時間外労働が月20時間までは別途支払う必要はありません。
 欠勤控除がある都度、固定残業代を含めて残業代を再計算し直す煩雑さを考えると、欠勤控除の対象に固定残業代を含めるか否かは、その会社の時間外労働の実態によることになるでしょう。
 ただし、就業規則に「傷病等により30日以上欠勤した場合には、休職とする」など、休職条件として長期欠勤を定めている場合があります。ノーワーク・ノーペイの原則があるとはいえ、欠勤控除の対象として、固定残業代を含めていないことによって固定残業代の支払いを求められることも想定されます。
 しかし、欠勤事由を問わず、長期にわたって全く就労していない場合において、基本給や他の手当は控除されて支払われない一方で、固定残業代だけ支払われるのは適切ではありません。したがって、例えば、「月の所定労働日数の2分の1以上欠勤する場合」といったように何日以上の欠勤で固定残業代も控除となるか明確にしておく必要があるでしょう。