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2019/03/14

派遣労働者の同一労働同一賃金

 今回の労働者派遣法改正は、正規雇用社員(いわゆる正社員などの無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用社員たる派遣労働者の不合理な待遇の格差をなくすことが目的になっています。

 派遣先事業主(以下、派遣先)は派遣労働者受け入れに際して、派遣元事業主(以下、派遣元)と労働者派遣契約の締結にあたり、あらかじめ派遣予定の労働者と職務内容・人材活用の仕組みが同一とみなされる、派遣先で直接雇用されている労働者の賃金や賞与などの待遇に関する情報(以下、待遇に関する情報)を、書面などにより派遣元提供しなければなりません。

 これにより派遣労働者に対する不合理な待遇格差の解消と、差別を禁止し、同一労働同一賃金を実現しようとするものです。なお、派遣元は、派遣先から情報提供がない場合、労働者派遣契約の締結が禁止されています。

 派遣元は、派遣予定労働者と同一の業務に従事する派遣先の通常の労働者の待遇に関する情報の提供を、あらかじめ派遣先から受けることになるので、派遣予定の労働者から派遣にともなう待遇について納得感を考慮しなければなりません。

 そこで、派遣先は派遣労働者に対して、派遣先において同一の職務に従事し、職務内容の変更や配置転換の範囲なども同じと評価される派遣先の通常の労働者の待遇と不合理な格差を設けてはなりません(均等待遇)。

 さらに派遣労働者が派遣業務に従事している期間中、派遣先に雇用されている通常の労働者と同一の業務に従事していると評価できる場合には、基本給や賞与といった賃金に関して情報提供を受けた派遣先の労働者より低い水準の賃金とするような差別的取り扱いをすることはできません(均衡待遇)。

 不合理な格差の禁止および差別的な取り扱いの禁止については、派遣元に過度の負担をもたらす場合があるため、労使協定を締結することで例外が設けられています。

 具体的には、派遣元が、雇用する労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合と、ない場合は労働者の過半数を代表する者と、一定の事項ついて書面による協定を結んだ場合には、均等・均衡待遇の規定を除外することができます。この労使協定は適用対象労働者に周知しなければならず、派遣先へ派遣する労働者がこの協定の対象となる場合は、その旨を通知しなければなりません。

 つまり、派遣元としては、派遣労働者の待遇について原則となる派遣先との「均等・均衡方式」によるか「労使協定締結方式」によるか選択できることになります。