夏休みを年次有給休暇の消化期間に充当
労働基準法上、年次有給休暇は雇い入れた日から6カ月経過して出勤率8割以上の労働者に対して付与日数は10日、その後継続勤務年数1年毎に出勤率8割以上で付与日数が加算され、継続勤務が6年6カ月経過すると最大20日を付与されます。
年次有給休暇は労働者に時季指定権というものがあり、労働者の指定する日に与えなければなりません。
一方の使用者には、その指定された日が事業の正常な運営を妨げる場合には、他の日に取得するように変更させることができる時季変更権というものがあります。
しかし、使用者から労働者に日や期間を指定して強制的に年次有給休暇の取得を命ずることは出来ません。したがって年次有給休暇の取得促進策とはいえ、夏季休暇として日数を指定して消化させることはできません。
ただし、労働基準法で定めている「年次有給休暇の計画的付与制度」を導入することで可能となります。計画的付与制度とは、労働者の取得できる年次有給休暇日数のうち、5日を超える分についてのみ日を特定して付与するものです。
この制度を導入するためには、使用者と労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働組合が無い場合は労働者の過半数代表者との間で計画的付与制度の導入およびその付与方法などについて労使協定を締結することが必要です。
付与の方法には以下の方式があります。
①個人付与方式(労働者個人別に取得日を決める)
②班別付与方式(部や課など一つの単位で取得日を決める)
③一斉付与方式(会社や工場等の従業員全員一斉の取得日を決める)
業種業態に合わせていずれかの方式を導入することで労使で決めた日数を年次有給休暇の取得日として取得させることができます。
なお、「働き方改革関連法案」の一つに年次有給休暇強制取得規定があります。使用者は年次有給休暇が10日以上の労働者に対してそのうち5日を1年以内の期間に使用者が時季を定めることにより与えなければならないということになります(平成31年4月施行予定)。