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2018/04/12

採用に影響を及ぼす風評被害対策

 インターネットで自社を検索して、転職サイトや掲示板サイトに自社に対する事実無根の誹謗中傷が書き込まれていた場合どのような対応が必要でしょうか?

 今の時代は、ネット社会です。就職または転職するにあたっては、求人企業の情報を得るためにインターネットで調べるのは当たり前です。御社のホームページはもちろんですが、転職サイトや掲示板、口コミサイトなどには、会社の悪い評判や評価が氾濫しており、求人者はこうしたサイト情報を確認してから応募するものです。そのため、ネット上に根も葉もない悪評や中傷が掲示されブラック企業的な風評被害を被ると、応募者が全くないなど、採用に悪影響を及ぼします。

 風評被害の発信元として多いのは、退職者、在職従業員、応募不採用者などです。会社と揉めて辞めた、処遇についての会社への不平・不満やハラスメント、面接で嫌な対応をされたなどの理由で、感情的に根拠のない悪評を書き込むといったものです。

 風評被害にあった場合にはそれを早く消したいものですが、サイト管理者に削除依頼や投稿者を特定する発信者情報開示請求をしても、根拠や証拠がないと困難な場合が多いようです。こうした場合には早めにその分野に詳しい弁護士に相談し、裁判所手続きにより削除などの仮処分を依頼することになります。悪質な事実無根の風評についてはこうした手続きにより投稿者を特定し、刑事告訴(名誉棄損罪、侮辱罪、業務妨害罪など)や民事上の損害賠償請求を行うことも検討しなければなりません。

 これが座汚職従業員である場合には就業規則に基づき何らかの懲戒処分をしなければならないことにもなります。もっとも重い場合には懲戒解雇となります。処分の種類・程度のについては、投稿内容や会社の被害によって判断しなければなりません。不採用者や退職者からの風評も困りますが、まず防ぐべきは、この在職従業員からの風評です。そのためにはサービス残業の撲滅、適正な労働時間管理、ハラスメント防止など、労務管理体制を整えることが必要です。その上で内部通報窓口を設置するなどにより、問題が発生した場合にできるだけ素早く社内で解決できるようにします。

 次に、求人応募者の面接にあたっては、横柄な面接態度をとったり、必要以上に個人的なことを聞いたりせず、不快な印象を与えないことです。退職者に対しては退職時において、抑止策として守秘義務違反や信用失墜行為をしないことなどについて退職時誓約書の提出を求めることも有効でしょう。