精勤手当は割増賃金の計算基礎に入れるべきか?
労働基準法(第37条)では、使用者に対して、時間外労働、休日労働および深夜労働については、通常の労働時間または労働日の賃金(通常の賃金)に一定率を乗じた額の割増賃金の支払いを義務付けています。
また、割増賃金の計算の基礎から除外できる賃金として労基法および同法施工規則(第21条)において、次のとおり定められています。
①家族手当
②通勤手当
③別居手当
④子女教育手当
⑤住宅手当
⑥臨時に支払われた賃金
⑦1ヵ月うぃ超える期間ごとに支払われる賃金
これら7種類の賃金は、限定列挙されているものですので、通常の賃金であって、これら以外の賃金は割増賃金の計算の基礎となります。またこれらの賃金はその名称にかかわらず、実質によって判断され取り扱われるものとされています。
精勤手当は、勤務に関する要件を満たしたときに支給されるものだとしても、基本的には毎月支給されるものであれば、「臨時に支払われた賃金」や「1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」のいずれにも該当しないと考えられるので、割増賃金の計算の基礎に算入するべき賃金といえます。
割増賃金を計算する際は、時間によって定められた賃金については、その金額を基礎に、月に定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1ヵ月平均の所定労働時間数)で除した金額を計算基礎として割増率を乗ずると定められています。このほか、日給や週給、出来高制などについても計算の方法が定められています。
仮に精勤手当が支払われた月に深夜勤務の割増賃金を支払うときは、精勤手当の1時間当たりの額を前記の方法で算出して、これを通常の時間給に加算することにより、1時間当たりの割増賃金の基礎額(割増率を乗ずる前の金額)を算出することになります。